いじめられた話。
昨日の閲覧者数は3名。速報ベースの視聴率は0.0000025%(ビデオリサーチ調べ)である。スポンサーがつくわけがなく、ACジャパンも無視決め込みのシマツ。仕方ないので俺自身のコマーシャルをするほかない。
俺は29歳・二児の子持ちである。それ以外に特記すべき事がないことに、いささかの暗い気持ちが押し寄せてくるのは言うまでもない。そんな俺である、が、あえて特徴を記すならば、ものすごい人の目を気にするところは挙げておきたい。
自意識過剰気味な俺は、近年ずいぶん解消されてきたというものの、今でも、ヘラヘラ笑っているカップルとすれ違ったもんなら、社会の窓の戸締り確認、イヤホンに結び目が出来てないかを確認、ニットの毛玉がひどくないか、靴紐がほどけてないか、鼻毛が出ていないか、耳毛も出ていないか、アイシャドーの色が濃すぎていないか、マツエクが取れていないか等を、流れる所作で確認するほどである。
そんな俺に悲劇が起こったのは昨日の晩であった。9時に会社を出た俺は、帰宅前に油を摂取しようと、オキニのラーメン屋に立ち寄った。
環七に沿う形で営んでいるそのラーメン屋は、今では珍しくなった王道チャッチャ系ラーメン屋であり、若いがなかなか愛想の良い店主が作るそのラーメンは、シンプルであるが故に、また行きたくなる魅力を醸し出している。いつも空いているラーメン屋だが、昨日に限ってはちょっとした列が出来ていた。後で分かったことだが、その店は繁盛店に分類されているらしく、おまけに昨晩は金曜の夜。一週間のうちもっとも客が入るであろう「金曜夜の飲んだ後の〆」アワー。行列が出来るのは当然である。
そんなことも知らず、「ほうほうほう関心関心」などと海原雄山よろしく列に向かっていった私であるが、店の前に並んでいる4人分しか椅子がなかったため、最後尾のアベックの後ろで、しぶしぶ直立で待っていた。図示すると以下の通りである。
_I I______ 店側
○○○○●←筆者
待っている間、インターネットキッズであるところの俺は、オーパーツの秘密やら、海底遺跡なんぞのオカルト情報を流しみ読み、来るラーメンアワーを待っていたが、やがてあることに気がついた。
...並ぶ場所、間違えた...?
_I I__ 店側
○○○○●←筆者
こうじゃなくて。
_I I__ 店側
筆者→●○○○○
こうだった?
しばし考えたが。
「いやいやいや。そんな馬鹿な。もし間違っていたら、横に並んでいるアベックが、『並ぶとこ反対ですよ』って言うに決まってるって。だって、それじゃ割り込みを許容したって事じゃん。ないないない。俺を藤原組長と間違えたならまだしもさぁ、がりがり会社員と組長を間違えるはずないじゃん。」
なんてことを考えておったら、店側から「次の方どうぞ~~~~~!!!」
_I I__ 店側『次の方どうぞ~~』
○
○
○○ ●←筆者
店に入ったアベック。すごい笑ってた。あれは「やっとお店入れたね!何頼もうか!」の笑みではなく、明らかに俺に対する嘲笑。行列から眺めていたが、終始笑うアベック。俺の番になって、店に入ったら笑ってるアベック。おまけに注文時にオーダーを噛んでしまった。
全身麻酔中に喉元掻っ切って殺していただきたい。